知らないでは済まない、こんなときも必要な許認可

許認可を取るのも大変ですが、何より怖いのは「許認可が必要だと知らず、いつの間にか違法行為になっていた」という状況です。

行政書士は許認可を扱いますが、なんとその業務種類は数え方によっては万単位!とも言われています。
ここでは、許認可が必要な場合をおさらいし、事業化の前に調べる必要性を確認しておきましょう。

メジャーな許認可の落とし穴

許認可が必要だと比較的よく知られているのは、たとえば建設業許可、産廃許可(産業廃棄物収集運搬業許可)、飲食店の営業許可、それから最近では民泊もそうでしょうか。

これらのメジャーな許認可は「許認可についてまったく知らなかった」パターンは少ない一方、大丈夫だと思い込むと落とし穴もあるので注意が必要です。

まずは「うっかり」。建設業許可がなくても営業している建設系1人親方や小規模事業者はたくさんいますが、これは500万円未満の請負であれば許可が不要だからです。この500万円という額を失念して「うちは小規模だから大丈夫なはず」と金額の確認を怠り突き進んでしまったりすると、違法状態になります。

次に「境目」。自宅に来たお客様にコーヒーを出すのに許可を取る人はいません。では、事業所にセルフサービスのコーヒーを置いたら?イベントでコーヒーを飲んだ人から100円徴収したら?

飲食店の営業許可が必要かどうかは、どんな方法で提供するかやお金を取るかなど、さまざまな観点で変わってきます。「飲食店じゃないから大丈夫」ではなく、飲食物を扱うのであれば必ず調べる、わからなければ保健所に相談するといった習慣をつけておきましょう。

そして最後に「種別」と「変更」です。もう許可を取っているから、営業所を他県に設けても大丈夫?産廃収集の車を増やしても大丈夫?そんなことはありません。

許認可を取ったあとでも、会社や許可周りの事業に変更があったときは、必ず何らかのアクションが必要にならないか確認しましょう。許認可の事業に直接かかわりがなくても、会社の所在地や名称の変更は届け出なければならないことが多いです。

産廃許可や古物商許可の場合、対象品目も変更が生じていないか、注意してくださいね。

知らなかったでは済まない「これも許認可」

こんな場合に許認可が必要だなんて、知らなかった!となりがちなパターンもあります。事業のメインではないところや趣味の領域で影響することがある分野も多いので、この機会にいくつか見ておきましょう。

飲食物関係はとりあえず確認しよう

飲食店をオープンするなら許認可!は、大体の人が知っています。

しかし…手作りお菓子が人気だからといって、お友達に配布していたところに値段をつけるとか。
イベントなどで不特定多数の人に配布するとか。
地域で模擬店をやったりとか。

そんなときも、許可や届出が必要な場合がありますからね。というのは、案外見逃しがちなポイントです。

特にふだんあまり飲食業と縁がない方ほど、頭をよぎらずにやってしまいがち。気をつけましょう。怪しいかもと思ったら、地域の保健所に相談しましょう(判断に若干の地域差があるので、実際に行う場所の保健所に聞くのが確実です)。

旅行も度が過ぎれば登録対象

仲良くなった人と、みんなで旅行に行こうぜ!合宿をやろう!なんて機会がある方も多いかもしれません。それは結構。

しかし繰り返すうちに、「せっかくだから広く募集してもっとたくさんの人を集めよう」という話が出てきたり、「主催の〇〇さんはいろいろと手間をかけてくれているから、少しお金が入るようにしてあげたい」と参加費を徴収したり…

そういうことを始めると、旅行業登録が必要な可能性が高いです。

日常の中での「お友達同士、コミュニティ内部での旅行」から簡単に登録が必要な領域に発展してしまうのが、怖いところ。かかわる人が集団になり、「あれ?」と思った人が言い出しにくいのも怖いところです。

信書便…って何でしたっけ?

特に物流関連に興味がある方は、うっかりで信書を輸送する事業を始めてしまわないように気をつけなければなりません。

信書というのは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のこと。ちなみに総務省によれば、電磁的記録といわれるCD、DVDなどのデータは、内容にかかわらず信書に当たりません。

具体的には信書には、いわゆるお手紙のほかに、請求書、許可書、証明書、宛名が記載されたダイレクトメールなどが含まれます。宛名がはっきりしている「あなたへのお知らせ」の類ということですね。

これらは「信書便」の許可を得た事業者でなければ、配送業を行えません。宅配を依頼するときに「信書は送れません」と言われたことがある方も多いかもしれませんね。

もともと物流関係の業務をしていると、あれもこれもの中でなあなあで信書を引き受けるようになってしまう可能性があります。これは信書ではないか?の意識は持っておきましょう。
物流関係でない事業者がバイク便や軽貨物事業に参入する場合も、信書便の許可を得ずに信書を引き受けるような計画を立てないように気をつけましょう。

化粧品・薬品の範囲は思っているより広い

自然の材料を好む方の中には、せっけんや化粧水、目薬までも手作りする人がいるとか…。

それ、他人に渡すのには許認可が要りますからね。

化粧品の範囲は普通の人が考える分類よりも広く、洗顔せっけんやシャンプーも含まれます。また、無料配布であっても規制がかかります。

さらに、評判が良いからといって大量に製造しようとした場合、保有量に規制がある物質が含まれる場合があるため、その点も注意が必要です。

人からものを預かるなら、倉庫業関係をチェック

倉庫を運営するのって許可が要るんですよ、知ってました?

一時的な手荷物預かりや、宅配の配送センター、駐車場(他人のものを置くという意味で言われてみれば…ですが、ちゃんとマニュアルに書いてあります)など例外も多いため、一般の人がこの許可の必要性に悩むことはほぼありません。

しかし、他人の荷物を預かって保管するような話が出てきたときは、とりあえず許可が不要なものと考えて良いかどうか、調べるだけは調べても損はないでしょう。

他にもこんな許認可があります

知っているものから知らないものまで、いろいろあると思いますが、メジャーどころですら、これだけいろいろな許認可があります。うっかりで踏み抜かないように気をつけましょう。

  • 介護・障害者支援関係の事業所立ち上げ
  • 人材紹介、派遣
  • 警備業
  • 酒類販売
  • 農地転用
  • 金融商品取引、投資助言・代理
  • 危険物取扱
  • 探偵
  • 道路使用許可、河川の占用許可

シームレスに「事業化」しないように気をつけて

「うっかり」や「知らなかった」の許認可漏れは、個人の趣味からも発生し得ます。深く考えない趣味だからこそ起きやすい場合もあります。

加えて、事業者だからこそ陥りやすい「うっかり」があります。「企画を膨らませることやお金を得ることに抵抗がない」のがその要因です。

やってみたらうまくいったから、これでお金を取ってみよう。
思ったより人気だったから、もっと多くの人に届けよう。
使える技能は使っていくのが、事業ってものだ。

個人事業主を含め、創業の経験がある人ほど、純粋にそう考えてしまいます。

新しいことを始めるときは、とりあえず許認可が必要ないか、調べましょう。
趣味では問題なかったことでも、事業化を考えたら、とりあえず調べましょう。
その習慣が、あなたの身を救うかもしれません。

今回の学び

・よく知っているはずの許認可だからこそ、うっかりや変更で違法になってしまうことがある
・「知らなかった」を起こさないよう、新規開発や事業化の際には必ず調べよう