交流会の席、落ち着いた独特の雰囲気で目を惹いたのは、行政書士・中小企業診断士の箱山玲(はこやま・りょう)さんです。ぜひお話を聞かせてほしいとお願いし、インタビューが実現しました。
契約書業務を中心にしつつ、セミナーを通して教える活動も
―HP等で、前職は人事や新規事業の方面と拝見しました。
新聞社で、人事6年、新規事業6年、法務4年です。中小企業診断士のほうは新規事業の部署にいた最後の頃に試験に合格し、活動を始めました。
行政書士のほうは20代のときで、司法試験浪人から撤退したときに「20年くらい経ったら、勉強していたなんて誰も信じてくれなくなる」と思い、科目が重なる行政書士試験を受験し、合格しました。
妻が2023年にジュエリー職人として独立し、会社員だと妻の事業を手伝いにくいと感じたのが、2024年に行政書士登録をし、独立した理由の1つでした。もう1つの理由は、会社員、それも管理部門だと、セミナー講師になれる機会がないと感じていたことです。
学生時代にテニスコーチのアルバイトをして、打ち込んできたことを伝えて喜んでもらえるのは素敵だなと思ったんですよ。人って教え合うものだと思います。その教える側に立つことが、僕はけっこう好きみたいです。
そういう側面のある仕事をしたいと思っていたので、会社に入って管理部門に配属されて、当初はモヤモヤしたこともあります。でも、今思えば適材適所で、納得の配属です。
僕は表に出ないで事務的なことを頼まれがちなマネージャー役タイプで、新規事業の部署で自然とできた役割分担の中でも、アイディアマン側よりも実務側のほうに立っていました。ゼロから1を作るよりも、誰かが作ってきたものを動くように整える方が得意なのかなと感じています。独立後の今もそういう仕事が多いので、そういう人なんだと思います(笑)
―もともとセミナー講師になりたい思いがあったのですね。「第50回セミナーコンテスト東京」にも参加されたとうかがっています。これからセミナーに力を入れていくのですか?
力を入れていきたいです。「法律や行政書士実務の小難しい話を、分かりやすく伝えることをしていきたい」という思いがあるんですよね。
その中でも、契約書の話はいいですよね、面白いのでね。法務部のない会社に向けた、契約書の基礎セミナーのようなものも今、準備しています。

―「契約書愛」についても、以前少しうかがいましたね。
そうそう、契約書の業務が、パズルみたいで好きなんですよ。行政書士業務の中でも、契約書関連の業務を専門にしています。
契約書や企業実務のところが強くないと会社の基盤が揺らいでしまうので、そこを特化していきたいなって思いも、最近、本当に強くなってきていて。
契約書を扱うと会社の状態を深く知れるので、それをきっかけに経営状況のようなお金の面も見ることができますよと、中小企業診断士の業務にもつなげていきたいです。
ただ、目立つサービスではないので、どう大切さを伝えていくか。もちろん皆さん大切だと分かっていると思うんですが、重ねて地道な部分の大切さを伝えていくことや、共鳴してくれる社長さんとどう出会うかということを、楽しみながらやっていきたいと思っています。
きれいに整えることが好き
―AIで契約書を作る人も増えていますし、士業も代替されると言われますが、どう思いますか?
確かにみんなAIで作り出していて、まあその、「すごいの」が出来上がってきているのはあるので(苦笑)、そこを喚起できれば、需要は逆に出てくるんじゃないかなって思います。
AI利用では、知識と想像力がより必要になってきていると感じます。私自身もAIを使うことはありますが、出てきたものを自分の名前で出すと考えたときに、恥ずかしくないもの、正しくて役に立つ情報に、自分が責任を持って整えてから出さないといけない。だから使うけれども、それほど信じていないというか。
人間の脳みそのほうがAIより高性能だと、僕は思っているんですよね。手を見るだけでも、血管だとか色々入っていてなぜか動く不思議な物体です。脳の中身にはもっとすごいものが入っているはずで、急激にAIに頼る方向に傾いていくのは「なぜ?」という感じがあります。
業務の代替は、今の段階ではとても無理だと思っています。10年後はわからないですが。資格のある人の知識は、僕は必要だろうなと思っているんですよね。僕が呑気すぎるのかなあ、どうなんだろう。
―テニスのお話がありましたね。今もされているんですか?
今も趣味ではありますが、そうしょっちゅうはしていません。コーチをやるくらいなのできれいに打ってはいると思いますが、弱いんですよ。きれいに整えるのが好きで、勝ちに行くことにはそれほど執着心がなくて。契約書も整えていく作業が好きですし、先日のセミナーコンテストで入賞を逃してしまったのも、勝ちへの執着心のなさが一因かもしれません。
最近よく取り組んでいるのは、息子の小学校のお父さんの集まりがきっかけで始めたソフトボールです。もう3年くらい、地域の人たちと楽しんでいます。あたたかく迎え入れてくれた、ゆるくていいチームです。
―中小企業診断士会の動画では、猫がお好きと。
猫はね、いいですよねえ。
今飼っている1匹は里子で来て、4年経ってようやく膝に乗ってくるようになりました。少し前に亡くなったもう1匹は体にもよく乗ってくる子だったんですけれどもね。

8月から「ゆめのたね放送局」オンエア予定
―将来、どうなりたいですか?
自分が学んだことを仕事として提供できて、誰かの役に立っていれば良くて。セミナーや教える仕事を通じて、自分が学んできたことを普及させたいなというのはありますね。
今は個人事業で1人なので、判断基準は自分が力を発揮できるかどうかと、世の中全体とどうつながるか。不器用かもしれませんが、世の中で必要とされていることを第1に考えるマーケットインよりも、自分のことからスタートするプロダクトアウトで考えがちです。マーケットインのほうがいいと言われますので、気をつけないといけませんね。
―来てほしいお客様はどんな方ですか?
立ち上げ期よりは、長く事業をしている方。規模は1人から、大きい所だと数十人程度です。
急激にドカーンと広げて爆発的な成長を目指す方よりも、今ある事業を着実に広げて少しずつ成長しようとする方のほうが、合っていると思います。
―これから挑戦したいことは何ですか?
ブログをちょうど衣替えしたところで、やる気を出しています。誰も私のことを知らないわけですから、自分から発信していかないと。AIに頼らず書いていきたいと思っています。
それと、2026年8月から「ゆめのたね放送局」というところで、インターネット配信のラジオをスタートする予定です。ブログやnoteの筆が遅いので、喋ったほうが早いんじゃないかと思って。文字媒体の記事にAI生成が増える中で、文字で勝っていくのが難しいと感じたのもあります。話すのは別に得意ではないのですが、思い切りました。楽しみです。
曜日、時間などは未定で、今後ブログやnoteで最新情報を発信していくと思います。課題はバックオフィスの仕事をどう面白く話すかです。契約書愛などを語るだけでいいのかどうか(笑)
当初はひとり語りの予定で、でもいずれはゲストを呼んで2人で喋るのも面白そうですね。僕もゲストで呼ばれた際に勧められたのがきっかけで、パーソナリティをやってみようと決めたんです。それまで、ラジオなんて絶対にやると思っていませんでした。そういうきっかけは大切にしていきたいです、せっかく独立したんだから。
語り手 箱山行政書士・中小企業診断士事務所 代表 箱山玲(はこやま・りょう)さん

新聞社で人事、新規事業、法務の部門を経験。2020年に中小企業診断士として活動を始め、2024年、行政書士登録とともに完全独立を果たす。行政書士としては契約書関連業務を専門としている。
HP:https://hakoyama.jp/
note:https://note.com/hako_project
ブログ:https://hakoyamaryo.com/
聞き手 今井恵理(いまいさん)

(行政書士)小蛇事務所代表・本サイトの運営者。行政書士業務で好きな部分は事業計画書の作成。
