挑戦と信頼を大切に、子ども関連事業者を支援 弁護士・稲田遼太さん

子育てが人生観に影響を与えました。

もとは中小企業の支援を中心にしている事務所で働いていて、大きな意味での成長みたいなところ、自分のスキルアップや収入アップに関心が寄っていたんですね。

子どもが生まれて子どもたちにいい社会を遺したい思いがだんだんと芽生えてきて、かつ、子どものためにサービスをしてくれる事業者さんってありがたいなとも思ったんです。それがパパ弁護士を名乗り、子ども・若者関連事業を支援したいと考えるようになった理由です。

だから、カッコつけずに言うと、「いい世の中を遺したい」のコアは「自分の子どもに(遺したい)」なんですよね。

子どもがいないときは、自分の残りの寿命、自分と周りの友達くらいの範囲が楽しく生きていければ良いと感じていました。子どもが生まれて、自分の世代だけではなく子どもの世代の世の中まで視野が広がり、考えなければいけないことが増えたと感じています。

今1つ挙げるならば、家族だけではなく社会で、もっと小さく言えば地域で、子育てがされるような社会になっていけばいいと思います。

今でもお金や人的資源・社会的資源へのアクセスが容易であれば地域社会で子育てをすることはできると思いますが、それができるのはかなり少数派だとも感じています。もっと広がっていくといいなと思っていますね。

けっこう二律背反な思いがあって。

「こうあってほしい」を持ちすぎると、子どもが握るべき人生の主導権を奪ってしまう危惧があります。

でも一方ですごく大事にしているのは、挑戦する人であってほしいということです。子どもたちにも、失敗しても「それは挑戦だったんだ。失敗は挑戦しなければ起きなかったことだから」と伝えています。

僕自身はわりと怖がらずに挑戦できるタイプですが、それを投影して「僕ができるなら、あなたもできるはず」とならないようには、すごく気をつけていますね。断定的な言い方を避け、答えを僕が持っている形にならないように意識しています。

直近では、2025年7月の独立がその1つです。ほかにも、面白そうだと思った団体には1回は行ってみたり、新しいサービスにもどんどん手を出したりします。

はい。土日も含め、AIを触らない日はないですね。

メインはChatGPTですが、NotebookLM、Claude Code、Geminiも使います。契約書レビューツールや判例調査ツールも、AIが搭載されたものを選んで使っています。AI尽くしです。

弁護士の存在価値の1つは、「速く、適切な正しい情報をお伝えすること」だと思います。それって生成AIが大得意な分野なので、そういう意味では、AIによって弁護士の価値が減るという意見には同意するところなんですよね。

けれども、生成AIに何を聞くべきかが、難しいと思っています。僕は生成AIをすごくポジティブに見てはいますが、現時点で、生成AIは聞かれたことにしか答えません。

離婚したいと話す人が、本当に離婚したいのか、離婚して何を得たいのか。会社を経営する人が、何を大事にしているのか、どうして大事にしようと思うのか。

そういうところから「この人が本当に聞きたいことは何なのか」に迫るのが、人間である弁護士の1つの価値だと思っています。

知識のティーチングをすぐに始めるのはラクですが、僕は時間を取って聞いたり、話の途中で振り返ってもらったりして、本当に聞きたいこと、根っこにある思いまで聞けるように工夫しています。

実はコーチングのサービスもしていて、そこでは法律知識のことも必要な範囲ではお話するけれども、どういうことを思っているのか、どういう行動をしていくかを中心にして、伴走支援をするんです。

弁護士としては、こんなふうに聴くことにフォーカスするのは、珍しいかもしれませんね。

2017年頃、イベントでコーチングも扱う研修企業・エール株式会社の代表者に出会ったのがきっかけで、コーチングを学び始めました。

弁護士ってどうしてもティーチングのコミュニケーションが強い業種で、コミュニケーション力が総合的に上がっていかない感覚があったんですよ。これだけを強めていっても偉そうな人間になるだけで、人から必要な情報を引き出せるようにはならないと感じていました。

業種を絞っても業務が絞られるわけではなく、一般的な企業法務と重なると思っています。契約書のレビュー、従業員のトラブル、債権回収などですね。

業界独自で考えられるのは、お父さんお母さんからのクレームや要求に関する対応です。

子どものこととなると自分のこと以上に気持ちが高まるのは、親としてわかるんですよね。対して事業者側は、優しい人、喧嘩慣れしていいない人が多い業界だと思うんです。「僕が代わりにクレーム対応できますよ」というのは、ニーズがあるのかなと思います。

今は一般的な企業業務のほか、公益財団法人あすのばなど非営利団体の理事としてかかわることもしています。今後、機会があれば団体への協賛という形での応援も積極的にしていきたいです。

強いて選ぶとすれば、自分が応援したいと思えるかどうかです。挑戦を大事にしている事業者さんとの相性が良いと感じています。

いくつかありますが、1つは、地元への注力です。
町田市、千代田区の事務所を経て、独立時は地元である横浜市港北区に事務所を構えました。

新横浜駅が最寄りになる範囲の10軒以上の弁護士事務所の中で、自分の事務所がトップで中小企業の信頼を得ていると、自信を持てるようになりたいと思っています。「挑戦」と「信頼」は、僕が働く上で大事な価値観なんです。

今は地元のお客さんがまだ少ないので、チラシを活用するなどしつつ、経験、人脈、能力を伸ばして自信を高めていきたいですね。

2つ目に、自分の肉体にも関心を持ってあげることを今年の目標にしています。どうしても頭脳労働で、「おなかが痛くても(ストレスで)色が感じられなくなっても、タイピングができればいいや」くらいのマインドが、どこかにあるんですよ(笑)

そういう自分のことにちゃんと気がつくように仕掛けをつくり、働き続けてしまわないようにする習慣をつけようと思います。

最後に3つ目はやはり、子ども・若者関連事業支援の分野をもっと伸ばすことです。今の課題は、主体的に営業ができていないことにあります。コミュニティ「ワクセル」のコラボレーターになったことや、この取材も含め、情報発信を極めていきたいと努力しているところです。

 

語り手 ウィング横浜北法律事務所 代表弁護士 稲田遼太さん

早稲田大学大学院法務研究科卒業後、弁護士資格を得て2つの事務所に勤務。2025年7月に独立し、新横浜駅近くにウィング横浜北法律事務所を開設。2人の子どもを育てるパパ弁護士として、子ども・若者関連事業の支援を専門に掲げている。公益財団法人あすのば理事・一般社団法人Papa to Children理事。依頼に応じコーチング伴走支援も実施中。
HP:https://wyklaw.com/
Note:https://note.com/ryotainada
Facebook:https://www.facebook.com/ryota.inada

聞き手 今井恵理(いまいさん)


(行政書士)小蛇事務所代表・本サイトの運営者。主に小規模な事業者やNPO法人の手続き周り全般の支援をしつつ、ライター、コーチとしても活動中。