事業承継補助金(正式名称:事業承継・M&A補助金)の最新公募の情報が公開されました。次の公募は第15次で、応募期間は2026年6月19日~7月24日です。
使える人は限られている。でも、だからこそ良い
事業承継補助金は、他の補助金に比べて利用できる人が限られる補助金です。
なぜなら、決められた期間内に
・事業承継
・M&A
・廃業&再チャレンジ
のうち申請区分に応じたものを行う(進める)ことが条件だからです。
しかしだからこそ、事業承継やM&Aを考えているのであれば、魅力的な補助金になります。
対象者が限定されるということは、競争率が低くなるということ。
直近3回の実績では全体の採択がおおよそ60%で安定しており、これは国の補助金ではかなり高いと言える数字です。
一方でこの補助金、個別に面と向かってはおすすめしにくいのも特徴です。
だって…現に事業をしている事業主に向かって、「事業承継補助金、どうですか?」「M&Aとか、いっそ廃業して再チャレンジとか…」って、相当具体的なお話が出ていない限り、社長に隠居を勧めるかのように、あるいは事業がダメだと言っているように聞こえかねないからです。勧めるだけで失礼になりかねない補助金は、たぶん事業承継補助金だけだと思います。
もし普段からお付き合いしている専門家がいて事業承継補助金にご興味があるようなら、ぜひ事業者さんのほうから「事業承継補助金に興味があって…」と切り出してみてくださいね。
申請検討時に確認しておきたい2つのこと
事業承継やM&Aを検討していて、もっと補助金について知りたいと思った方。細かい条件のチェックに進む前に確認しておきたいポイントを2つ挙げます。
1.相手方との合意はできていますか?
M&Aする気満々で採択されたのに、約束が撤回されて…では労力の無駄遣いです。申請類型ごとに求められる書類を整えるのはもちろんですが、紙の上だけでなく、きちんとお互いの意思や条件は確認してから申請しましょう。補助金を利用しようと考えていることも改めて説明し、合意を得ておきましょう。
事業承継ではM&Aに比べ申請の条件はゆるめですが、実際に事業承継を行わなければいけないことや、事業の実施主体が引き継ぐ側になることを考えると、申請時点で合意が取れていないと大事故になるのは同じです。
引き継がせようと心を決めていて、いつも「いつかは継いで」と話していたとしても、補助金に採択されてから「えっ今!?やっぱりちょっと無理かも…」と言われてしまうと、お話になりません。
やはり事業を引き継ぐとなれば、心の準備だって要るものです。いつか、数年以内になどと話していても、それだけでは不十分。承継補助金に応募しようと思っていることや、いつごろ引き継ぐことになるか、補助金に関連してどういう働きが求められるのかというようなことまで、後継者にしっかり話を通しておきましょう。
話を通しておく、ということは、社長さん、あなたも知っておかなければいけないということですよ。
補助金のHPや公募要領を見てもわからないときは、専門家を頼って、二人一緒に説明を受けるのも良いですね。
なお、廃業・再チャレンジ枠は「相手方」なしで申請できますが、法人の場合は株主に対して説明する必要があります。
2.具体的な展望が見えていますか?
事業承継、M&A、廃業。言葉では簡単に言えますが、複雑な作業です。
補助金の申請だけなら、補助金に強い行政書士が1人いれば足ります。でも実際に承継やM&Aを進めるには、複数の専門家が関わり、手続きをしなければならないことがあります。
事業承継では登記だけではなく、株式の譲渡も行わなければなりません。M&Aは複雑度が高く、登記や精算、従業員の移籍など、さまざまな分野の専門家なしでは難しいでしょう。規模感によっては廃業でさえも簡単ではありません。
事業主が勇み足で補助金を取りに行っても、実務が進まなければ補助金はもらえないか、返還になります。
専門家にも専門家のスケジュールがあり、採択されてから「えっ、そのスケジュールでは無理です、想定外です」なんて言われたら困りますね。
その承継・M&A・廃業について、専門家の意見は聞きましたか?
実現可能性やスケジュールについて、大体の見通しは立っていますか?
依頼先が決まっている場合、専門家にも補助金について話を通しましたか?
事業承継補助金で大事なのはとにかく連携、報連相です。自分ひとりですべてできることではないと肝に銘じて動きましょう。
どの枠を調べればいいの?
事業承継補助金は、申請枠ごとに公募要領が分かれています。
全部を読む必要はありません。当てはまるものだけを読みましょう。
まず事業承継補助金の最新公募のページを開きます。ページをスクロールしていくと、「第15次公募」という枠があり、4つのボタンが並んでいるところがあるはずです。
後継者がいて事業を譲る場合(一般的な事業承継)は、「事業承継促進」
今の事業を廃業し、新たな事業を始める場合は、「廃業・再チャレンジ」
公募要領を読んでもわからないときは、専門家に相談しましょう。
M&Aの場合は「専門家活用」「PMI推進」のいずれかとなりますが、申請枠については進捗状況を踏まえつつ、M&Aに関する専門家に確認しながら選ぶのが無難です。
なお、廃業・再チャレンジ枠は、他の枠と併用申請ができます。
相談の入口は誰?
補助金の書類作成や申請ができるのは行政書士(理論上は弁護士も可能)です。
ただ、補助金を主に扱う行政書士の中には、事業承継やM&Aにあまり詳しくない人もいます。相談前にHPなどで専門領域を確認するのが良いでしょう。
事業承継やM&Aそのものについて聞きたいことがあるときは、公認会計士、税理士、弁護士なども含め、身近で事業承継やM&Aに詳しい士業、M&Aの場合は専門で扱う支援業者などに相談したほうが良いかもしれません。補助金のこともあわせ、必要に応じた他士業を紹介してもらえる可能性もあります。
一般に、まったく同じ業務の相見積先などでなければ、士業同士をぶつけて連携するように伝えても問題ありません。複数の士業に一緒に話し合ってもらうのも、事業者さんが納得できる形でスムーズに進める上で大事なことです。
士業側にも事情がありお断りされることもあるかもしれませんが、そのときは依頼先を変えることも含め、主人公である事業者側の納得を第一に進んでくださいね。
今回の学び
事業承継やM&Aなどを前向きに検討しているなら、採択率の高い事業承継補助金は狙い目。ただし、関係者の合意を得て、専門家の助けも得ながら進もう。
