行政や士業、金融機関が気にする「事業実態」とは?

事業実態という言葉を聞いたことがありますか?許認可や補助金では、マニュアルにこの言葉が載っていることがあります。

また、「事業実態」という言葉を面と向かって使わなくても、融資や口座開設の際の金融機関や、申請支援をする士業も、これを気にしています。

事業実態って何を見ているのでしょうか?なぜ必要なのでしょうか?

なぜ事業実態を気にするのか?

読んで字のごとく、事業実態とは事業をしている実態のことです。

「事業実態がある」状態を気にするということは、「事業実態がない」パターンがあり、そのような状況が発生すると行政や金融機関が困るということです。

では「事業実態がない」パターンとは何かというと、いわゆる幽霊会社、ペーパーカンパニーのようなものを言います。

会社の箱を設立し、事業をしていない、休眠状態であること自体は、違法ではありません。個人事業に至っては誰でもなることができ、実態として全然稼げていなかったり、仕事がなかったりしても、違法とは言えません。

ただ実際には、ペーパーカンパニーが粉飾決算や税金逃れのために使われていたり、悪い事業を隠すために設立されていたりといった事例も多々あります。携帯電話を何台持っていようと違法ではないけれど、簡単に手に入る携帯電話やその番号が詐欺に使われがち、みたいな話です。

また、融資のようにお金が動くとき、もしその相手がペーパーカンパニーであるとすると、一体何にお金が使われるのか?という問題があります。ペーパーカンパニーは事業をしていないので、そんなにお金が必要なはずはありません。

ペーパーカンパニーや「ほぼ会社員」なのに、事業をしているかのように装ってお金を得て、好き放題に使ってしまう。そんなことが許されてしまえば、税金や資金の無駄遣いと言われても反論できなくなってしまいます。

だから行政機関や金融機関は、相手が「事業をしていると言い張っているだけのペーパーカンパニーやナンチャッテ個人事業主」であるならば、それを見抜いて断らなければなりません。
行政機関に書類を提出する士業も、万が一にも悪事の片棒を担がないため、この見極めが求められています。

つまり、あなたが言っている(書いている)事業って、本当に実施されているもの?というところを、根本的に疑っています。といって、あまり気を悪くしないでください、これはあなたが悪役顔だからではなく、善人を装ってそういう悪事を働く人がいるからです。

事業実態はどうやって証明する?

では「事業実態がある」ということ、本当に事業をしているということは、どうやって証明するのでしょうか。

まず第一に、書類上での確認があります。そもそも会社が存在するということ自体、個人事業をしているという言い分自体がウソの場合もあるからです。法人の登記事項の証明書(履歴事項全部証明書)や開業届の写しを求められます。

ここでは、事業内容も目を通されます。事前に申告した事業内容と書類上の事業内容が大きく異なっていると、この段階で少し質問されることがあります。
現に実施している事業が含まれていれば、記載が多すぎるのは違法ではありません。しかし、確認の目的によっては、なぜそれらの事業を入れたのか、始める予定はあるのかなどを気にする担当者もいるかもしれません。

しかし、現在の事業の記載がある限り、事業内容の記載だけで結論が却下になることはほぼありません。聞かれるとまずいのかと思って慌ててしまいますが、あまり気に病まず正直に答えましょう。「大企業を見習って作った」のような他愛もない理由を無理に隠そうとするほうが、かえって悪目立ちします。

書類上の実態が確認できたら、今度は「事業を実施していることの確認」が入ります。

わかりやすいのは事業所を訪問することです。作業場や工場、特殊な機械などが必要になる事業の場合は、訪問してみて実際に作業場があり、使われている様子があれば、確かにその事業をしていると考えて良さそうです。もっとも、それが本当にその事業者の事業として処理されているかどうかは、確定できません。

また、提供しているものが無形のサービスであるような場合には、物品だけでの判断が難しいこともあります。複合機やパソコンの存在を確認することはありますが、それだけでは少し弱いかもしれません。

そこでさらに、決算書(確定申告)や日々の帳簿、通帳の記録などを見て、お金がしっかり動いているかどうかを確認することがあります。取引が少ないなどでさらに確認したいときは、これから増える予定があるのか、主要な取引先はどこなのかといった追加の情報を求められます。

事業実態が疑われてしまう場合

事業実態があるのかどうかわからず、または実態はあるけれど弱いため、融資や補助金の対象とならないことがあります。以下のような事業の方は、悪いことをしていなくても事業実態を疑われてしまう可能性が比較的高いです。

  • 業務の繁閑が激しく、月別のお金の動きの差が著しく大きい事業
  • 取引数が少ない事業、立ち上げ初期で動くお金が小さい事業
  • 無形のものを売る、経費が少ない事業
  • 現金主義で記録が少ない事業

このような事業を実施するときは、以下のことに気をつけておくと良いでしょう。

  • 手書きでも良いので、日々の会計記録や日誌などの記録を細かく残す
  • 今後の事業計画をしっかり作り込み、積極的に見せる
  • 自分なりに事業を行った記録と言えるものを用意しておく
  • 顧客の連絡先を確保しておくなど、顧客が実在することを示せるものを残す
  • 総じて隠そうとしたりおどおどしたりせず、聞かれたことには正直に答える開け広げな態度で応じる

今回の学び

行政や金融機関は「ペーパーカンパニー的なカラ主体」がお金を持ち逃げしたり、悪用したりすることを恐れている。設備や記録を見せ、本当に事業をしていることを伝えよう。