事業者さんへのインタビュー、最初のおひとりは、皆から「みきてぃ」の愛称で親しまれる、司会業の石田みきさんです。
お仕事に込めている思いや後進を育てることについて、お話をうかがいました。
言葉を減らし、重みを持たせる
―どんな分野の司会をするのが好きですか?
学会や企業の式典・パーティーを含む多彩なイベント、選挙ウグイスのお仕事など、幅広い分野で活動しています。式典ではスタッフを頼んだ人に「マジメなみきてぃを見るのは初めてです」なんて言われたこともありますが(笑)、厳粛な式典も、盛り上がるフェスも、お酒を伴う祝宴も、どれも大好き。本当に大好きなんです。
イベントってどれも、1回限りの生き物、なまもので、その時間だけ共有できるもの。毎月の会だとしても、参加している人は違っていて、常に新しい。そこが好きです。
―司会をする上で、何を大切にしていますか?
もともと話すのがすごく好きで、司会業を選びました。でも、実際に司会を始めてみると、司会者のお仕事って、言葉を減らし、重みを持たせるところにあったんですよね。
自分が思ったことをただ喋るだけでは司会にはなりません。周りの人をどれだけ盛り上げて、楽しかったね、素晴らしかったねと思ってもらえるイベントにするか。
そのためにも、クライアントさんがそのイベントで意図すること、何のためにそのイベントをしているのかを伝えられる、「代弁者」になることを目指しています。
実は司会で最も重要なのはその場の空気をつくることであって、言葉は2番目、3番目です。司会原稿をただ読むのではなく、原稿の先にあるものを伝えたい。
だから私はイベントそのものについて、イチから知りたいと考えて打ち合わせに臨みます。イベントをつくるチームの一員のように考えていただきたいです。イベントに込められたいろんな方のいろんな思いを、しっかりと背中に背負って当日を迎えたいんです。
このあいだ、「あなたのやっていることは、司会というよりもMCだよね」と言われました。そうかもしれないと思います。

後進育成では、クライアントの思いをどう伝えるかが課題
2025年、新たに司会者のグループを立ち上げたそうです。現場では1人で仕事をすることが多い司会者の仲間づくりと、後進の育成が目的とのこと。コミュニティ機能を重視しながら、お仕事の分配もしています。
―司会を楽しんでいるみきてぃが、次世代にお仕事を分配しようと思ったきっかけは何ですか?
「私に」お仕事をくださっている方がいるのに、そのお仕事を他人に渡したくない気持ちはあります。でも、いつまでも働くことはできないですよね。
それにコロナ後、イベント開催が戻ってきて、同じ日時のイベントが重なってしまうことが増えてきました。
コミュニティがあって次世代が育っていれば、「うちにすごくいい司会がいるので、どうですか?」という形で、完全には手放さずに信頼できる人に回すことができます。ちょっと寂しいけれど、それなら受け入れられると思いました。
―育成を始めてみて、実際、どうですか?
自分が司会をするときは、クライアントさんから直に気持ちが伝わってきます。他の人に行ってもらうときには、その受け取った気持ちを、私から司会者に代弁しなければなりません。
なるべくしっかりと伝えてはいきますが、その受け止め方はどうしても100%にはならないものです。自分の思い通りにならないことに、常に一喜一憂しています。これは今年(2026年)の課題でもあり、永遠のテーマでもあると思います。
―どんな次世代を育てたいですか?
ある程度はオールマイティにできるようにしつつ、それぞれの得意なところはしっかり伸ばしたい。そして「この人にお願いしたい」「チームの一員として迎え入れたい」と思ってもらえるような司会者に育ってほしいです。
コミュニティは今、20人弱です。50人いれば、皆が得意な現場から挑戦できるようになります。私についていきたい、一緒に盛り上げたいと思う人が来てくれたら嬉しいと思います。
また、司会者の後進育成とは別に、息子が今ではビジネスパートナーになっていて、いろいろと頼んだり頼まれたりしています。
お仕事って、人との関わりです。1人でやれることって、1つもないんですよね。
万が一私に何かがあったときに、息子がある程度分かっていてくれれば、その関わりの部分が、なんとか通常の形で回るだろうと思えます。その意味で、次世代に引き継ぐ準備は整ってきていると思います。
2冊目を出したくなる出版記念パーティーを
司会業のかたわら、イベントの企画・プロデュースや、起業者向けコンサルタントのお仕事もしているみきてぃ。企画したイベントの司会をコミュニティの中で割り振りしたり、コンサルティングを通じてイベントを生み出したりと、多彩な活動をしています。
―どんなイベントを企画・プロデュースしていますか?
いま強化しているのは、出版記念のセミナー&パーティーです。
本の内容の一部を抜き出してセミナーをしていただくと、聞く人も本に対する愛着が生まれます。著者のほうも質問を受けたりして「2冊目を出したくなりました」という方が多いです。
最近は電子書籍なども含め、どなたでも出版ができ、どなたでも出版記念パーティーができる時代です。まだまだ強化していきたい分野ですね。
―起業者向けのコンサルティング「はじまるマルシェ」の特徴は何ですか?
インプットだけではなく、アウトプットまでアシストすることを大切にしています。
イベント企画・運営のノウハウをお伝えできるのが強みです。それに、受講生がセミナーや講演会のようなアウトプットを行う際、司会者が漏れなく付いてきます。
アウトプットの機会を持てれば、お客様になるだろう人たちと直接ふれあい、声を聞いて、それに応じた軌道修正もできるでしょう。
起業時は階段状にステップをつくり、1歩1歩踏みしめてのぼっていくことが大切ですが、そのための背景としても、人を大事にして、耳を傾けることをいちばんに伝えていきたいです。
岩盤浴と大切なわんこ、人との関わりのこと
―オフの時間はどんなふうに過ごしますか?
週1回、岩盤浴に行きます。何も考えない時間をつくって、頭を整理するのも大事ですよね。
それと、飼っているわんこの散歩です。ミニチュア・ピンシャーで、もう14歳半なので寝ていることも多いけれど、お散歩の時間になると起きて催促してくるんです。それが可愛くて。お散歩以外は家の中だけで終わってしまう日もあるので、「わんこが私を外に連れ出してくれている」という感覚があります。

―次世代について聞いてきましたが、ご自身はいつまで仕事をしたいですか?
若いMCさんが良いというイベントもあるし、落ち着いた年齢の人が良いという場合もあって、続けていると仕事内容は少しずつ変わってきています。10年後には、また違った種類の需要があるのかもしれないですよね。安心して任せられる年齢であることは大前提ですが、需要がある限りは続けたいです。
―今後、どういう人に出会えたら嬉しいですか?
司会のお仕事をたくさん持っている、クライアントさんになる人。広告代理店さんやイベント会社さんとの出会いがありがたいです。100万円単位で預けていただければ、私も、コミュニティの仲間たちも、みんなでイベントを企画し、盛り立てていくことが出来ると思います。
でもそれだけではなく、小さな需要も大歓迎です。20人くらいの小さなコミュニティのイベントも、司会がいれば大きく変わります。
イベントは準備さえがんばれば、誰でもできるものです。集客と当日の資料以外の準備は、丸投げしていただければこちらでも進められます。まずは予算をお伝えください。
語り手 石田みきさん

ジーティネクスト代表。東京都港区生まれ、立川市在住。
元は大手小売店(ドン・キホーテ)にてバイヤーとしてPB・OEM開発に携わり、数々のヒット商品で販売数日本一を記録した「売れる仕掛け」のスペシャリスト。バイヤー時代に研ぎ澄ませたプロデュース力を活かし、イベントプランナー、司会者、起業者向けコンサルタントとして多岐にわたり活動している。2025年には司会者グループを設立し、後進の育成とコミュニティ運営にも注力。また、実践体験型コミュニティ「はじまるマルシェ」を通じ、「アウトプットまで伴走する」起業支援を行っている。
https://www.gtnext.jp/
聞き手 今井恵理(いまいさん)

(行政書士)小蛇事務所代表・本サイトの運営者。事業者支援を専門とする行政書士、インタビュー記事中心のライター、個人向けライフコーチングを行っている。
