小規模事業者持続化補助金 申請が始まる前にチェック!

11月から小規模事業者持続化補助金の申請が始まります。
昨年度など過去の申請とは違っている部分もありますので、改めてポイントを押さえたいと思います。

申請はいつ?いくら補助される?

小規模事業者持続化補助金のスケジュールと補助額について、本文で示されている内容を図にしたものです。

基本情報

※この記事では最後の一部分を除き、原則として「一般型」について解説しています。

申請期間:2026年11月5日~12月15日17時
事業実施期間:交付決定後※~2028年3月31日

※採択発表は2027年3月頃と発表されていますが、遅れることがあります。採択発表後、見積書を提出して「交付決定」を受けたところからが事業実施期間になります

補助率:原則3分の2(赤字事業者4分の3)
補助上限額:原則50万、特例により最大上乗せ額200万

申請できる人:小規模事業者

公式ウェブサイト:https://r6.jizokukahojokin.info/#gsc.tab=0

申請できる「小規模事業者」とは?

小規模事業者の定義は、まず第一に人数で決められています。

宿泊・娯楽業 従業員20人以下
それ以外のサービス業 従業員5人以下
その他の事業 従業員20人以下

ただし、大企業の子会社であるなど、実質的に小規模でない場合には除外されます。

形態としては、個人事業主、会社、士業法人等が対象です。
従業員がゼロ人でも申請できます。

申請できない形態・業種としては、以下のものがあります。

  • 任意団体、社団法人、財団法人、医療法人、宗教法人などの団体
  • 確定申告の対象となる収益事業を行っていないNPO法人、認定非営利活動法人(認定NPO法人)
  • 医師、歯科医師、助産師
  • 農林水産物の「系統出荷」のみの事業者
  • 申請時点で開業していない人

NPO法人の場合は、確定申告をしている部分の収支のみが審査の対象となります(したがって事業規模が非常に小さいと判断され、営利事業者に比べて不利になりやすいです)。

「今」が準備開始の時

今回の申請の情報は、5月の終わりから解禁されています。
これに対して申請は、11月からの約1か月です。

以前の補助金は、情報解禁≒申請開始でした。ある程度内容を予測しておき、情報が出たらそれに合わせて書類を準備して、申請をするという流れです。今回の流れはそれには当てはまりません。

早くに情報を出し、しっかり準備をしておいて、申請期間には「提出」をしてね、というのが、今回のスケジュールの意図であると考えられます。

耳聡い人は5月から準備を始めています。申請が始まる11月に初めて考え始めるのでは、もう遅いのです。
この記事が10月に書かれているのは、「今からもう準備をしたほうがいいですよ」という意味です。少なくともどんな補助金であり、どんな申請をしたいのかくらいは、今のうちから考え始めましょう。

「補助率、補助額」は何を意味しているか

補助率が3分の2、補助上限額が50万円であるとき、最大額の50万円を受け取るためには税抜75万円の投資をすることになります。
もし補助上限額が250万円であるなら、最大額の250万円を受け取るためには税抜375万円の投資が必要です。

先に75万円+税なり375万円+税なりを支払い、後でお金がもらえることを忘れないでください!
補助金とはそういうシステムです。

補助額の考え方

補助上限額が50万円ということは、50万円が全体の3分の2相当額であるということです。
50万円=75%なので、100%=75万円となります。

補助金の額は「税抜額」から算出します。
100%=75万円が税抜額なので、税込額は75万円×110%=82.5万円となります。

したがって、もし満額の50万円の補助金を受け取りたいと思ったら、いったんお財布から82.5万円を出し、補助金を受け取った後も32.5万円が自腹の費用になる(返ってこない、減るお金)ということです。

補助上限の考え方

補助上限額は、あくまでも「最大でこれだけ補助します」という意味です。

補助上限額に届かない申請(たとえば税抜50万円を使い、33.3万円をもらう)も可能です。無理をせず、事業の規模に合った申請をしましょう。

小規模事業者持続化補助金には申請下限額の設定がないため、理論上は投資額3円からでも申請できます。ただし、あまりにも申請額が小さいと、「それなら補助金をもらわなくても、自分でやればいいんじゃない?」ということになり、採択されるのは難しくなります。

事業規模とのバランスや、事業主・上層部の方が計画に関わる時間の労務費換算とのバランスを考えて、申請するかどうかを決めましょう。

反対に、やりたいことにかかる費用が大きすぎて、補助上限額でまかなえない場合はどうなるでしょうか?
たとえば、補助率3分の2、補助上限額が50万円なのに、どうしても100万円かかってしまうような場合です。

この場合の考え方は2つあります。
1つは、別の補助金を使う方法です。小規模事業者持続化補助金よりも大きな額の補助金を使える可能性があるのならば、検討する価値はあります。

もう1つは、「足を出した部分は自費」として申請する方法です。申請入力などで多少システムとの対話が必要になる場合はありますが、このような申請自体は過去にも認められています。

もっとも、足を出す部分があまりにも大きいと、「このサイズに対してこれだけ補助しても、あまり意味がないのでは」「もっと大きな補助金を使ってほしい」と思われ、不採択になる可能性が高まります。
あくまでも補助上限に対して「少しだけオーバーサイズ」のときに、この方法を使いましょう。

何に使える補助金?内容を考えるときのコツは?

「ウェブサイト関連費」「広報費」の変更

以前から小規模事業者持続化補助金に興味があった方の中には、「ウェブサイト関連費がわずかしか取れない」ことで諦めた方もいたかもしれません。

そんな方には、一部朗報です。割合の条件はなくなりました。
また、以前はウェブサイト関連費だったSNS広告が「広報費」に再整理され、明記されました。

代わりに、広報費・ウェブサイト関連費は、それぞれ補助上限額が30万円までとされています。
また、チラシなどを含む広報費とウェブサイト関連費は、他の費目を申請する場合にのみ、あわせての申請が可能です。

以前よりは拡充されたものの、引き続いて宣伝関係への補助には慎重と言えます。
過去には広報費のみでの申請等が可能だったので、アナログ手法での宣伝をしたかった方には、逆に不便になったとも取れます。

申請できる費目

さて、対象になる費目は以下のとおりです。
まず、広報・ウェブサイト関連費以外の部分を見ていきます。

「機械装置」と言いつつ、機械でなくてもOK

「機械装置等費」は、機械、装置、設備などに関する費目です。
機械装置と聞くと「モーターや電気で動くもの」のイメージが強くなりますが、ここではベビーチェアやショーケースなども対象になります。

広報費・ウェブサイト関連費以外の費目の中では、もっとも使い勝手が良く、申請しやすい費目であると言えます。

機械装置等のポイントとして、以下のようなものがあります。

  • 他の用途にいくらでも使えるものはNG(事務用パソコン、一般的な椅子など)
  • 車両は原則としてNG(ただし、タイヤ・キャタピラがついていても減価償却上で機械装置になるものはOKになりました。建設機械などです)
  • 消耗品はNG
  • 仕入はNG

展示会はスケジュールに気を付けて

以前よりは事業実施期間が長くなったので、展示会には出展しやすくなったのではないかと思います。オンラインの展示会も対象になり、より申請しやすくはなりました。

展示会の出展料のほか、運搬費などもこの費目です。ただ会場費は借料に、交通費は旅費になるなど、細かいところでの区分は複雑な部分もあるので、迷ったときは公募要領を見るか、詳しい人に聞きましょう。

さて、期間の制約が減ったとはいえ、スケジュールの問題は相変わらずついて回ります。展示会等出展費の難しいところはこれです。機械装置等の購入とは異なり、事業者が自分で自由にタイミングを決められるものではないためです。

申請する展示会の申込は事前に行っても構いませんが、費用の支払いは交付決定以後(採択が発表され、交付申請を行ってOKが出た後)でなければいけません。
展示会そのものの開催日も、実施期間の間に収まっていなければなりません。

採択後に申請した展示会とは異なる展示会に出たくなったというような場合には、変更の申請が必要になります。
確実に出展したい展示会があり、スケジュールに余裕があるようなら、申請する価値はアリと言えるでしょう。

「借料」は機械装置に次いで検討の余地あり

会場費、機材レンタル費用、設備リース料などが対象になるのが「借料」です。
比較的明確で扱いやすく、申請しやすい費目であると言えます。

ただ、一瞬で購入が終わる機械装置とは違い、借料の場合には補助の対象となる期間が終わるまで実績報告ができないため、お金が入って来るのがやや遅くなる傾向はあります(これはサブスク形式の広報費なども同様です)。

家賃は原則として対象になりませんが、新規で借りる場合には一部対象となることがある…と公募要領には書かれているものの、あまり期待し過ぎずに申請するのが良いでしょう。

「委託・外注費」は必要ならば

他に当てはまらない委託・外注の費用がここに入ります。
デザイン(他の費目に入らない場合)、工事、インボイス制度関連相談などが当てはまりますが、営業代行は不可とされています。

委託・外注費の難しさは、証拠の出し方にあります。
工事では、前後の両方の写真が必要になります。工事が終わったあとで工事前の写真を撮るのは難しいので、注意が必要です(機械装置で大きなものを設置するときも同様です)。
相談などの無形のものでは、証拠や効果のレポートが課題になります。

機械装置に比べれば採択後の扱いにくさがありますが、利用したい内容があれば、検討しても良い費目です。

扱いが難しい「旅費」

旅費も申請可能な費目として設定されています。
ただ、この費目をメインとして申請するのはおすすめできません。

そもそも、対象になるのは航空機や宿泊などの旅費であって、車での移動(駐車代、レンタカー等)については対象になりません。
宿泊についても朝食付きはダメなど細かい規定があり、決められたとおりにこなしてお金をもらうのはけっこう大変です。

加えて、申請時点で出張の必要性が書かれていること、規定や計画に沿った出張をしたという証拠書類を揃えることなども、縛りが非常に厳しく、低額だと「割に合わない」ことになります。

民間の、特にひとり事業者さんが出張する場合、「思いがけず別のところに寄った」「せっかくだから少しのんびり」など、柔軟な旅程で動かれることも多いと思います。そのような動きに、補助金は対応していません。
自由をすべて捨ててでもお金が欲しく、かつ長距離の出張が必要なのであれば申請しても良い、というような費目です。

「商品開発」は「厳密に開発部分のみ」

一般的に仕入や原料費は補助金の対象とならないのですが、「新商品開発費」では、その一部が対象になります。

ただし、「売るものの費用」は対象になりません。あくまでも、サンプルとして作成するものの費用が対象です。購入した原料等は、事業期間内に使い切らなければなりません。

また、根拠としてテストマーケティングや市場調査の前提が必要になり、そのレポートも提出しなければなりません。

原料が混ざってしまっては困る、間違って売ってしまっては困るなど管理が難しいので、商品開発にまとまったお金がかかるフェーズである場合のみ、検討する費目と考えて良いでしょう。

広報費とウェブサイト関連費

そして最後に、広報費とウェブサイト関連費です。
この2つは他の費目の申請がないと申請できず、各上限が30万円とされています。

ウェブサイト関連費は、必ずしもインターネットにつながっているものだけではありません。
ウェブサイト、アプリなどのほか、システム構築、ウェブに載せるための動画や画像の制作などがここに含まれます。

ただし、有料のサービスのための動画作成等は「仕入」と同一視されるため、対象になりません。
SEO対策は「効果や作業内容が明確な場合のみ」OKとされています。

一方、インターネット関連でも、SNS広告やインターネット広告は、広報費に再分類されました。以前から興味を持っていた方、申請したことがある方は、費目間違いに注意してください。

広報費では、「商品・サービスの宣伝をすること」が前提となり、「会社そのものの宣伝」は不可とされています。具体的な商品名やサービス内容が書かれていることが必要です。また、名刺や販促品は対象外となります。

やっておくべき準備

当てはまる費目があるな、申請しようかな…と思ったら、準備をしましょう。

購入品の確定

最初にすべきことは、購入したい商品・サービス等の費用見積もりを確定させることです。
「なんとなく〇〇がほしい」だけでは不足です。採択後には見積書の提出もありますので、できるだけ正確に、利用する事業者、型番やカタログの識別情報、金額などを把握しましょう。

その上で、申請できる上限額と照らし合わせ、調整していきましょう。

もちろん、何のために、どうしてそれが必要なのかの理屈も必要です。
でも、それは「買いたいな」と思った時点できっと、ありますよね?あとは言葉にするだけです。

GビズIDの取得と確認

申請は電子で行います。GビズIDは取得済みですか?
もし取得していなければ、早めに手続きをしましょう。マイナンバーカードがない人の場合、2週間弱かかることがあります。

取得済みですという方、ログインできますか?
パスワードを忘れた、アプリが見当たらないなど、直前になってログインできない方、けっこういらっしゃるんです!事前に一度、ログインを試してみてください。

商工会議所への連絡相談

申請時には、商工会議所(地域によっては「商工会」)から発行される書類が必要になります(会員になっていなくても必要です)。

対面のやりとりが必要かどうか、事前にメールなどで書類を提出するかどうか、受付の締切や予約の方法などが、地域によって違っています。

申請期間が近づいてきたら、管轄の商工会議所へ連絡を取り、「補助金申請をしたい」旨を伝えて、どのように書類を発行してもらえば良いか相談しましょう。大都市圏では商工会議所のサイトに予約案内が用意されることもあります。
ギリギリになると予約が取れなくなる場合もあります。早めの相談が肝心です。

必要書類を揃えておく

確定申告書・決算書等は手元にありますか?
税理士さんが持っています!とか、なくしましたとか…という方は、早めにリカバリしておきましょう。

直近に決算期があって(8月、9月決算など)申請時期に決算書の完成時期が重なる方は、スケジュールを確認し、場合によっては少し早めに決算書を出してもらえるように税理士さんに打診してください。

法人の場合は履歴事項全部証明書(登記簿謄本)も必要です。
特例などを利用する場合は、それに応じた書類も必要になります。

入力項目の確認と申請内容の作成

ここまでの準備ができたら、細かい項目や申請内容について詰めていきましょう。
申請条件を満たしていることや必要な費目など、求められる内容を形にしていきます。

補助金申請で書いた方が良いポイントは、こちらのリンク先の記事にもまとめています。

専門家への相談は早めに

もう分からないから専門家に頼んでしまいたい。
自分でやろうと思ったけれど、やっぱり無理だった…。
そういう相談は早めに!やりましょう。期限が近くなると、引き受けてくれる専門家も減っていきます。

補助金に関する相談先は主には行政書士ですが、小規模事業者持続化補助金に関しては、商工会(議所)も積極的に相談に乗ってくれます。
提出する確定申告書のことや、収支計画の立て方については、税理士さんも相談に乗ることができます。

おまけ:創業型って何?

小規模事業者持続化補助金には「一般型」と「創業型」があります。ここまで解説してきたのは主には「一般型」のほうですが、スケジュールや費目は同じです。

創業型のメリットは2つあります。

1つは、申請上限額が通常枠でも200万円と、高めに設定されていることです。

もう1つは、指定された創業支援プログラムを受けた人(プログラムを受ける条件として創業からの年数等の条件がある)だけが申請できるとされているため、申請件数が少なくなる傾向があるということです。採択率は一般型とそれほど変わりませんが、より近い条件の少ない人との競争で選ばれる可能性があります。

もしかしたら当てはまるかも?という方は、ぜひ調べてみてください。

創業型公式ウェブサイト:https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/#gsc.tab=0

今回の学び

・小規模事業者持続化補助金の申請は11月5日から。でも準備は今日から!
・広報費とウェブサイト関連費の変更点に気をつけて
・相談するなら早めに行政書士か商工会へ