「非営利」って結局、何?

NPO法人、漢字で言えますか。
特定非営利活動法人。非営利法人の一種です。

ところで「非営利」って、つまり何でしょうか?

まずは、よくある誤解から見ていきます。

「非営利」のよくある誤解3選

「非営利だから…」「非営利って…」から始まる言葉には、しょっちゅう誤解が含まれています。「あるある」の誤解を3つ、解いてみましょう。

「非営利団体って、黒字じゃダメなんでしょ?」

非営利という言葉で最も多い誤解が、「利益を生み出してはいけない」です。
「非営利だから、決算のときにお金が残っていたらダメなんですよね?」と聞かれたことすらあります。

もしそうなら、来期の最初の活動資金はどこから出るんでしょう?

それに、もしもお金が残ったらダメだとすると、極端な話、その団体が持っているお金の全部の合計が、年度の末日に、差引ちょうどぴったりゼロ円にならなければいけない、ということになります。あまりにも非現実的です。

非営利だから、NPOだから、「利益が残ってはいけない」「黒字になってはいけない」ということではありません。
むしろ健全な運営のためにも、翌期に向けて多少のお金は残してください。

「非営利ってことは、みんなボランティアですよね?」

非営利の団体・法人であっても、必要な経費は必要な経費です。もちろん人件費もそのひとつ。

もし雇用をするなら、最低賃金や社会保険の法令を守らなければなりません。
業務委託をするなら、正当な報酬を支払わなければなりません。
制限は色々とありますが、役員報酬を出したり、役員に対する給与を支払ったりすることもできます。

非営利だからといって、みんながタダ働きをしなければならない、なんてことはありません。

ボランティアでは得られない専門性や注力度も、あるものです。
確かに非営利活動ではボランティアさんの力を借りることも多いとは思いますが、決して労働費用をケチらず、必要と感じたときは正当な報酬を支払って働いてもらってください。

「非営利だから、あまり高額なお金をもらってはいけないですよね?」

非営利の団体・法人がもらうお金の額について、特に制限はありません。

非営利団体が扱うからといって必ずしも市場価格に比べて安くしなければならないこともありませんし、寄附や協賛金の申出にわざわざ「逆・値切り交渉」をする必要もありません。

団体としての活動の資金が必要であれば、必要なだけ、少なくともどこかからはお金を得なければなりません。必要なものを遠慮して断る必要は、ないんですよ。

非営利とは「利益を分配しないこと」

では非営利とは結局何なのか、というと、一言で言えば「利益を分配しない」です。

株式会社の株を持っている人には、配当金がありますよね。また、株式会社が解散するときも、もし利益が残っていれば、その残りは株主に分配されます。この配当金や解散時の分配金が、利益の分配の例です。

だから、年度末のNPOにどれだけ多くのお金が残っていても、そのお金を正会員(NPO法上の社員)などの個人や他の法人がもらうことはできません。残ったお金はあくまでも、その団体の次の活動に使うためのものです。
解散する場合についても、社員に分配することはできないなど、一定の制限があります。

なんだ、それだけ?と思う人も多いかもしれません。それだけなんです。
株取引や投資と無縁の方では、「分配がある」ということのほうがピンと来ず、「非営利の何がそんなに特殊なのかわからない」くらいの感覚の場合も多いようです。でも本当に、それだけなんです。

ではなぜ、非営利団体の提供品は「安い」のか?

非営利の意味は「利益を分配しない」というだけ。それでも一般に非営利団体が提供する物品やサービスが安くなるのには、いくつかの理由があります。

(1)分配分の利益が要らないから

営利事業、代表的には株式会社には、利益を最大化することが求められています。株主がたくさんの利益を分配してもらえるように、上手にお金を集め、費用のほうは倹約して、儲けなければいけません。そうしなければ、投資を引き上げられてしまいます。

これに対して非営利の場合、利益のことは考えなくて構いません。最低限の費用が賄えるならば(逆に言えば費用の分は「稼ぐ」ことは大前提として)、それ以上のお金を残すことは考えなくても良いのです。

たとえば物を売ることを考えると、株式会社では、仕入値+必要経費+今後の活動に回すための利益+分配できる利益まで考えて値段を付けます。
非営利団体はこの中で「分配できる利益」の部分が不要です。

(2)ボランティアや寄附があるから

非営利団体ではしばしばボランティアが重要な役割を果たしています。
また、現物寄附などの形で、タダでものが手に入ることがあります。

こうした寄附やボランティアは、営利団体でも禁止されているわけではありませんが、非営利であるほうがより受け取りやすいような制度や文化になっています。

それは時に、株式会社が同じだけのことをしようとするよりも、人件費や仕入費用がかかっていないことを意味します。その結果、提供物はより安くできるのです。

(3)他から回収しているから

非営利団体が物品やサービスを提供する場合、その相手が「お金がない人」であることは非常に多いと言えます。

そこで非営利団体の場合、受益者(その団体の活動によって恩恵を得る人)に提供する物品やサービスは無料や低価格に設定し、その分、必要な費用を他の方法で賄うことが行われます。

他の方法とは、寄附、会費、他の事業からの収益、助成金などです。

非営利=安く提供しているというイメージがあるかもしれませんが、やはりどうやっても無から何かを生み出すことは不可能であり、何らかの方法で、必要なお金や物品は得ているのには変わりありません。

今回の学び

非営利とは、利益を分配しないという意味。非営利であっても、必要経費分のお金はしっかり集め、残す必要がある。